山田利明 サステナビリティと東洋の知3「エコロジーと五行思想」
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sustaina02.html
五行はいわば木のエッセンス、火のエッセンス、土金水それぞれのエッセンスであり、そのエッセンスから、木の性を持ったもの、火の性を持ったもの、土の性を持ったものなどが生まれてくる。ではその性とは何かということになるが、例えば木の持つ温もり、柔らかさであったり、火の熱さであったり、土の柔軟さであったりする。万物は木火土金水いずれかの性を持つ、と考えるのである(p45)。
五行説は、単に5つの元素を並べたものではない。5つの元素が循環してあらゆる現象を生む、という理論にもとづく一種の宇宙論なのである。その循環とは、木は大地を割って芽吹くから木は土に勝つ、ところが木は金属によって伐られるから金は木に勝つ、しかしその金属も火に溶かされるから火は金に勝つ、火は水に消されるから水は火に勝ち、水は土によってせき止められ土は水に勝つ。さらに木は土に勝ち、金は木に勝ち・・・と5つの元素は無限のサイクルを回り続ける。
・・・強者が弱者に勝つという理論ではなく、1つの元素が他の元素を生み出すという理論である。すなわち木は燃えて火を生み、火は灰を生んで土となり、土から金属が生まれ、金属の中から水が生まれ、水は木を育み、・・・となる。この2つの五行説、前者を五行総勝説(木金火水土)、後者を五行相生説(木火土金水)という(p45-46)。
循環とは、同じサイクルの中を回り続けることで、そのサイクルの外にも出ず、また外からの圧力も加えない状況をいう。そのサイクルの中で完結する作用である。木火土金水が均衡を保って循環していれば、何の問題も起こらない。ところが、一旦この均衡が崩れると、その循環のサイクルは作用しなくなる。