われわれは、物事をとらえるとき、あたかも物理的空間にそれが位置している(存在している)かのように認識する。これは空間メタファーである。
「物事をとらえるとき」というのがポイントで、モノだけでなく、コトについてもあてはまる。つまり、本来、物理的存在ではなく、プロセスであったり出来事であったりするものを、空間上に位置する物体のごとく理解しようとするのである。
だから、「こころ」はプロセスであるにもかかわらず、例えば脳とか心臓とか、人体のどこかに宿っている「モノ」であるかのごとく理解しようとする。こころはどこかにあるものではなく、プロセスなのである。だから、どこにあるという質問自体がナンセンスである。
組織も、そういう意味ではプロセスであったり出来事なのであろう。つまり、物事が組織化することの動詞形である。それが、あたかも物理的存在のように理解される。それをいちばん可視化しやすいのが「組織図」である。果たして、組織図そのものが、物理的空間のどこかに静止している物体のような組織としてとらえられることになる。