キヤノンの人事戦略2


C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2004(2004/12/1-3実施)より
http://www.blwisdom.com/isemi/47/

キヤノンは1937年(昭和12年)に、小さなベンチャー企業としてスタートしました。・・・
そしてもう一つ、人を大事にしていこうという人間尊重主義の考えがありました。社員たちが、本当に一生安定して生活し、幸せに暮らせる会社をつくりたいという理想を抱き、「新家族主義」、「健康第一主義」を掲げました。また当時、日本は階級社会であり学歴主義社会でしたが、それを排して「実力主義」を掲げました。この三つの社是は日本の産業界の中でも非常にユニークなものでした。
と言いますのも、メーカーの「社是」といえば、通常は「技術を磨いて社会に貢献しよう」、「文化に貢献しよう」といったものを掲げるところですが、この三つのポリシーは、自社の社員に向けたもので、非常に珍しいと思います。しかも、それが単なるお題目に終わらずに具体的な施策に表れています。
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実力主義につきましても、1943年という非常に早い段階でブルーカラーとホワイトカラーという区別をやめ、学歴や性別に関わりなく全員を「社員」として遇する人事制度を導入しました。

http://www.blwisdom.com/isemi/47/4.html

今まで経営をしてきて、つくづく感じることは、一番大切なのはやはり“人間”であるということです。
 今まで取り組んだ改革によって社員の仕事の仕方が全く変わりました。このような大きな改革は、労使が理解し合わなければ成し遂げることはできません。労働組合も時代の流れを的確にとらえ、われわれと同じ時代の認識を持ってくれたので、こうした大きな改革を全部受け入れ、協力してくれました。これは、キヤノンの創業時から通じる仲間意識、社員を大切にする社風、労使が運命共同体であるという意識が根底にあると同時に、進取の気性によって新しいものを取り入れる、変化に順応するという社風があったから成功したものと私は考えています。先輩たちの先見の明に感謝し、この社風を後輩にも引き継ぎたいと思っています。

http://www.jmam.co.jp/jinzaimm/backnumber/2005/08/interview.html

創業以来、人間性重視の哲学が脈々と流れ続けている。社是には「実力主義」「健康第一主義」「新家族主義」とあり、行動指針として「自発」「自治」「自覚」の“三自の精神”を尊ぶ。キヤノン独自のセル生産方式も詰まるところ人間の能力を最大限発揮するために編み出されたという。キヤノンの強さの根源である人間主義の精神について、御手洗社長に聞いた。


・・・「実力主義」「健康第一主義」「新家族主義」という社是は初代社長であり、私の叔父に当たる御手洗毅元会長がつくりました。彼は本当に社員一人ひとりを大事にしました。
したがって、この三つの社是はすべて社員育成のためのものです。彼自身は元々産婦人科の医師で、経営の専門家ではなかったため「ものづくりは人づくり」だと真剣に考えていたんです。


・・・三番目は社員に対する責任です。実際に研究開発し、製造し、販売するのは社員です。社員なくして会社はないわけですから、社員の生活安定とか向上に社会的責任を持ちます。

御手洗冨士夫が語るキヤノン「人づくり」の極意
http://www.njg.co.jp/d/3827.html