中高年対策

人事管理と中高年対策

出向・転籍政策

一般的には大企業ほど就職人気が高く給料も高い。ゆえに優秀な人材が集まりやすい。中小企業ほど認知度が低く、給料が大企業よりも低い。よって優秀な人材を獲得するのに苦労する。大企業においてはピラミッド型の昇進構造において、すべての優秀な人材を処遇しきれず、職能資格制度というかたちでいわゆる「ベンチ入り」の社員にも「スタメン」と同等の処遇を施すことにより解決を図ろうとするが、それは人件費負担を増加させる。つまり、本来の実力を発揮できる優秀な社員はポジションの性質上、多くの場合が「スタメンメンバー」に限られ、残りは能力がありながら「ベンチ」でくすぶっている。当然、活躍して収益を上げるメンバーはスタメンのみなので、ベンチの人材は、貢献できていないのに報酬を受け取る形になってしまう。
そこで、優秀な人材の獲得や人材の定着率に悩む中小企業へ、大企業において活躍の場を与えられない層の人材を提供していくフローを作れば、中小企業にとっても、優秀な人材を獲得できることにつながし、本人たちにとっても、活躍の場が与えられ、活躍に応じた報酬を受け取ることによって、大企業に在籍していたときに感じる給料もらいすぎの罪悪感を解消できる。そこに、出向・転籍政策が合理的な理由が見出される。
とりわけ、能力主義の要素を持ちながらも、年功的運用の要素も大きい日本企業においては、ベンチ入り社員の活躍度と報酬のギャップ(つまり給料もらいすぎ現象)は、中高年になればなるほど大きくなる。よって、若手社員よりも中高年社員を優先して出向・転籍政策の対象としてとらえることの合理性も見出される。

再雇用制度