ネットワークの経済性


http://www.japanpost.jp/pri/reserch/r-book/finance/1996/r-book-003.html

ネットワークに参加する主体が多く、相互交流の度合いが多いほど、また参加者の専門性が高くなるほど、ネットワークに参加することによるメリットが大きくなることをいう。参加者が企業であればその生産性は高まり、個人であればネットワークに参加することによる効用がより増大するのである。この経済性は、またネットワークの外部効果とも呼ばれる。

情報化・国際化の新段階において、企業が自らの競争力と競争方式を転換する企業行動を展開している。
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第1に,情報ネットワーク経営の技術的基礎=マイクロ・エレクトロニクス(ME)技術=デジタル技術(7)によって,国内はもとより,国境を越えて情報通信を行うインターネットが実現したことから生じる。インターネットを利用すれば,(a)ネットワークの参加者=利用者が増えれば増えるほどそのネットワークの効用が増加する(8)。
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第2の共通な特徴は,情報技術の普及によって,これまでとは様相の異なる新しい競争(=「メガ・コンペティション」)が展開されるということである。それは国境を越える競争が最も進んでいる工業製品分野(カメラ・時計・電気製品・パソコン・輸送用機械,衣料製品など)において(その完成品だけではなく中間部品についても)特に顕著である。
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こうして,企業間の競争はインターネットを介して,国境の内外を問わず,企業か個人かも問わず,もちろん,企業の規模やそれまでの取引の経歴も問わずに展開される。・・・グローバル化した企業の競争力は,単なる価格競争力ではなく,事業活動のあり方において,その地域・国の「企業市民」として雇用機会の提供,循環型経済システムの構築,メセナ活動などの社会貢献の面においても評価される。このように、メガ・コンペティションは,グローバル化した市場競争と情報ネットワーク・システムの利用,および「企業市民」としての社会的責任という,3つの面における企業行動のあり方を問うものなのである。

ネットワークは、それへの参加者が多くなればなるほど、すべての参加者にメリットがあることは事実である。参加者が増え、利用が増大すれば、システム全体のコストが変らなければ、1単位あたりのトランザクション(1処理量)・コストは一般的に低下することとなる。さらに、参加者が増加すれば、彼らが流通させる情報量が増大し、ネットワークの接続可能性が広がる。これを「メトカルフェの法則」という。氏は、ネットワークのメリットは参加者の2乗で増大すると考えた。これを別の言葉で言えば、「ネットワークの外部性」(External Effects of Network)の発生と言えよう。