企業倫理

http://www.obirin.ac.jp/pdf/gs_master2005/20441129.pdf

現在は利益至上主義の時代ではないと言われる。企業の社会的責任とは、利益を上げることがもちろん、その利益を上げる際に、製品の安全性、コンプライアンス、社会貢献、人事制度など幅広い問題を配慮しなければいけないのも当然なのである。このように、企業活動のプロセスの中で社会的公正性、透明性、環境配慮等に対面しなければならない。企業を取り巻く環境の変化として、消費者行動の変化、投資家からの評価、欧州での法制化に向けた働き、CSR に関する各種国際基準・規格化(ISO 等)の活発な働きなどがあり、CSR についてワールドワイドな関心の高まりとなっている。こういう背景の下、経営テーマとして CSR が改めて注目されている。CSR への重視が深化してきており、世界各国の企業は自社独自性がある CSR への取り組みを通じて、競争力の強化や企業価値の向上を図ろうとしている。

http://www.mediacom.keio.ac.jp/bulletin/pdf2002/kiyou52/5.pdf

企業の利潤追求という企業の行動原則が、他人への義務と衝突する領域が企業倫理の生じる領域である。企業倫理学の方法は、一般に「ステーク・ホルダー・アプローチ」と呼ばれ、企業活動に利害関係を有するものに対する企業の果たすべき義務全てが企業倫理学の対象となる。企業または経営者は、そのステーク・ホルダーに対してある義務を負い、各ステーク・ホルダーは企業に対し何らかの権利を有し、経営者は各ステーク・ホルダーの権利を尊重し、責務を果たすべき企業経営に努めるという考えをステーク・ホルダー・マナジメントと呼ぶ。これは社会的存在としての企業とそれを代表する経営者が各ステーク・ホルダーから「受託義務」を負うということである。これは一種のプリンシパルーエージェント関係から生じる信認関係に基づいた信認と受認関係が企業とステーク・ホルダーの間に成立していることを示す。
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功利主義と義務論とは企業倫理学の二つの主要な倫理学用語であるが、最近これに、正義論が加わった。企業倫理学では、配分上の正義が問題となる。これは、便益と負担(富、所得、スティタス、パワ−、等々)の適切な配分を巡る原理の問題として現象する。ただし、そのような原理を何に求めるかによって様々なアプロ−チが可能である。例えば、功利としての正義、平等としての正義、公正としての正義、自由としての正義、権利としての正義、等々がある。
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私見によれば,情報化社会における倫理的規範のレベルは3つある。一つは社会全体のコンセンサスという意味における倫理であり,そこから強制力をともなった法的規範を生み出す根拠となる地平である。もう一つは個人の倫理の確立であり長期的な人材育成の観点から情報教育とセットにして組み込んでいく必要のある要素である。しかしながら情報倫理は従来のような個人の倫理感や公的規制の確立だけでは解決できない問題をあわせもっている。

資本の論理の行き過ぎと企業倫理
・株主価値経営
・株価の最大化
ステークホルダーアプローチ