協同とコントロールの強化サイクル

協同型統治をとっている企業も、コントロール型統治をとっている企業も、高業績期には戦略的固執を強め、低業績期には業績下降を加速させる強化サイクルを経験するが、それを生み出すメカニズムが異なっている。

(高業績期)協同的アプローチ→業績の向上→チーム凝集性、グループシンク、過度な自信、成功体験からの戦略的固執→過度な自己防衛行動の発現→(低業績期)業績の低下→外部からの監視の欠如→コミットメントのエスカレーション→戦略の固執、リスキーシフト→機能不全

  • 高業績を続け、協同型ガバナンスを志向してきた企業は、戦略的固執につながる強化サイクルを有している
  • 協同型ガバナンスを志向してきた企業は、業績低迷期に入ると、業績の下降を加速させてしまう

(高業績期)コントロール型アプローチ→監視による経営者の企業への帰属意識や使命感の低下→監視への反発、報酬の向上を要求→監視の緩和、経営陣への信頼→戦略的固執
(低業績期)業績の低下→経営者への不信感、監視の強化→経営者の自信の喪失、企業への帰属意識の低下、経営者の自己防衛、政治的行動→ガバナンスチーム(経営者と取締役)の分離→責任の押し付け合い→機能不全

  • 高業績を続け、コントロール型ガバナンスを志向してきた企業は、戦略的固執につながる強化サイクルを有している
  • コントロール型ガバナンスを志向してきた企業は、業績低迷期に入ると、業績の下降を加速させてしまう

つまり、協同もコントロールも、どちらか一方に偏り、行き過ぎると、企業業績を阻害する要因を作り出すことになる。両方を上手い具合に追求するようなガバナンスが求められる。

  • 自己修正方アプローチ(自己否定型、トヨタの例???)
  • 適切な外部からの介入
  • 信頼、不信、葛藤を交え、適度な緊張関係を作り出す
  • 取締役の多様性を作り出す(外部、内部、様々なバックグラウンドなど)と同時に、経営陣、取締役との相互理解を深める
  • 内部のみで機能不全に陥いらないように、適度な外部(大株主など)からの介入を受け入れる