ガバナンス論への理論的接近

コーポレートガバナンスを理解するのに、さまざまな理論からのアプローチがある。どの理論をもとに眺めるかによって理解の仕方が異なるが、複眼的に見ていくことが必要だろう。

  • エージェンシー理論(ガバナンス論では最も支配的な視点)
    • プリンシパル依頼人)とエージェント(代理人)は基本的に異なる目的をもっているため、お互いが自己の利益を優先させた場合、利害の対立が起こる。よって、エージェントが適切に依頼人の意思に従わない可能性が問題となる。
  • 資源依存理論
    • 企業の存続は外部資源に依存している。コーポレートガバナンスの重要なトピックである取締役、とりわけ外部取締役は、企業外部の資源との重要なパイプ役を果たしている。わが国でいうと、メインバンクなどから取締役を招いている場合がその例にあてはまるだろう。
  • スチュワードシップ理論
    • エージェンシー理論のように、依頼人代理人の利害の不一致を必ずしも前提としない。依頼人代理人の利害もしくは目的はしばしば一致する。
  • 権力の視点
    • ガバナンスにおいては、さまざまなプレイヤーの力関係や、権力構造が、理解の有力な鍵を握る。たとえば、CEOと取締役会の力関係はどうなっているのか、後継者選びがどのように行われるかと権力との関係など。
  • 比較制度分析の視点
    • 国によってガバナンスの特徴が違うのは、制度による影響が大きい。