ソニーとトヨタのガバナンス構造

参考文献

日本企業のコーポレートガバナンス―「統治」による企業価値の創造を目指して

日本企業のコーポレートガバナンス―「統治」による企業価値の創造を目指して

ソニートヨタは、ともに世界を代表するグローバル企業である。この2つのガバナンスの特徴を比較してみる。



ソニー

  • カンパニー製導入による開発・製造・販売一体化、権限委譲、独立採算制、階層の全社的圧縮
  • 本社の戦略機能強化とエグゼクティブボードの設置
  • 取締役の大幅削減、執行役員制の導入(戦略決定と業務執行の切り離し)
  • ソニーのガバナンス改革のベクトル
    • 徹底した透明性(国内外で機先を制して発表する)
    • ダイナミックな多様性(積極的な外部取締役の導入、脱日本企業)
    • 高度な戦略性(事業展開のグローバル化多角化に対応できる戦略的なトップマネジメント体制の構築)
    • 加速する俊敏性(必要に応じ、大胆に自己否定しながら改革。常に一歩前に進めようとしている)

トヨタ

  • 比較的大所帯の取締役会で、社外取締役執行役員制度を導入していない。
  • 取締役会を構成する取締役を「決定・監督」と「執行」に明確に分離することによって、迅速な意思決定をすることができる仕組みにしている(副社長会12人とそれ以外)。
  • 社長会12人が、実質的にソニーの取締役会と同様の意思決定機能。
  • インターナショナルアドバイザリーボード(海外の有識者による社外の客観的な視点からアドバイスをもらう)
  • 労使協議会や労使懇談会を含む、労働組合の牽制機能
  • 安定株主の比率が高い
  • グループ会社、サプライヤーとの関係
  • トヨタのガバナンス改革のベクトル
    • 徹底した透明性(情報開示の姿勢)
    • 開かれた社会性(公共性・社会性を十分認識したガバナンス体制)
    • 高度な戦略性(知恵と改善、人間性尊重という基本理念の実現志向)
    • 加速する俊敏性(組織エネルギーを最大限にとどめておいて、時に応じて一気に開放する俊敏さ=改革のすごさ)