成果主義導入と賃金格差(JILPT調査より)

http://mir.biz/2007/07/2618-5351.html
成果主義導入と賃金格差。「変貌する人材マネジメントとガバナンス・経営戦略」(労働政策研究・研修機構、2005年)第2部分析結果をもとに編集】

これらについて、調査では「成果主義を導入している」「成果主義を導入していない」に分け、さらに導入した年が「1999年以前」「2000年以降」で2分したうえで指標を比較しています。前回の記事でも触れたように「成果主義を導入しているとする割合が約60%」です。うち「2000年以降に導入した企業が2/3」とのことですので、割合としては
・1999年以前に導入…20%
・2000年以降に導入…40%
・未導入…40%
ということになります(数字は概数)。

その結果、ほぼ自明のこととして、次のことがグラフに表現されています。

(1)成果主義を導入した企業は、賃金制度において、設計面、運用面いずれも格差が大きくなった

興味深いのは次のような点でしょう(グラフ上数値の違いはわずかですが、分析において統計的に有意な違いがあると結論付けられている)。

(2)2000年以降に成果主義を導入した企業では、それ以前に成果主義を導入した企業に比べて、賃金格差の小さい制度設計をしている

(3)2000年以降に成果主義を導入した企業では、それ以前に成果主義を導入した企業に比べて、実際の運用上の賃金格差が小さい

なおこれらに加えて、
(4)1999年以前に成果主義を導入した企業の賃金制度は懲罰的要素が強い設計となっているのに対し、2000年以降導入は報償的な要素が強くなっている
ような数字が出ています(ただしこの点については検定の結果「仮説は棄却された」=「統計上有意な差はない」と結論付けられています)。

・1999年以前に導入→“過激な成果主義
・2000年以降に導入→“マイルドな成果主義
といった性格付けができるかもしれないというわけです。