谷川(2007)によれば、「構想力」とは「先をイメージし、見通す力」である。明確な将来像をイメージし、そこに至るまでの最善の道筋をつける。あるいは、現状を正確に把握したうえで、起こるであろうことを読み、将来どうなるかを予測する。これらを連動させながら、未来を創造していく力であるともいえる。では、構想力はどうすれば身につけることができるのか。
谷川は、夢や目標が構想力の基本だと述べる。「将来はこうありたい」「こういうことをしたい」という夢や目標は欠かすことができない。このイメージがなければ、そのにたどり着くための構想など生まれようがないからである。そのさい、目標は「長期的目標」と「短期的目標」の2つをもち、長期の目標は高く、そして短期の目標は低く設定し、短期的目標を一つひとつクリアすることで、長期的目標に近づくようにすればよいという。
次に、構想力を伸ばすものとして「大局観」を挙げている。大局観とは「未来を見据えたうえで現状を見る」ことだという。将来に対する明確なイメージがあり、先行きがどうなるかを正しく読んだうえで、そのイメージを実現するためには、いま何をしておくべきなのか、いかなる決断を下すべきなのかを判断する力が「大局観」なのである。大局観を身につけるためには、客観的に状況を見ると同時に、相手の立場に立って想像することも必要だと説く。
自分のなかに「引き出し」をたくさん持つことも構想力を磨くのに重要だと谷川はいう。知識は多ければ多いほど構想は描きやすいからである。常日頃から好奇心を持ち、最新の情報を収集し、研究するとともに、自ら試してみるという積み重ねによって少しずつ引き出しを増やしていくという日々の研鑽が欠かせない。
また、常識は固定観念や先入観につながりかねないため。常識はそのまま信じるのではなく、自分で検証してみることが大切だという。わかりきったことでも自分自身で検証すればあとで生きてくるともいう。そして、苦しい時こそ、意外に新しいアイデアや構想が浮かぶチャンスなのだと谷川は指摘する。苦しい状況をなんとか打開しようとするところから新しい構造が生まれることが多いのである。