組織との一体化

組織で働くようになれば、多かれ少なかれ、組織という存在が自分のアイデンティティの一角を占めるようになる。組織との同一性である。例えば、大学に入学したときから、その大学は、ポジティブにせよネガティブにせよ、自分自身の定義の大きな位置を占める。そして、通常、人間は、ポジティブな自己イメージを保持したいから、自分の行く大学を誇りに思ったり、評価が高くない場合には何らかの言い訳を考えたり、ポジティブな側面を見つけようとしたりして、自己防衛を働くことにもなる。


社会人となって会社で働くようになれば、平日は一日のうち、起きている時間の大半を職場で過ごすことになるのだから、自分自身の存在意義という意味でも、会社という組織は重大な位置を占めることになる。


組織との同一性がが大きくなると、組織と自分とが一体化し、自分=組織でもあり、組織の存在なしに自分を定義できないようにさえなる。「私は○○の社員なのだ」ということが自分の定義であり、存在意義である。


そうなると当然、組織の成功・繁栄=自分の成功・繁栄なので、一生懸命に働くことになるのだが、逆に言えば、組織の死=自分の死になってしまう。つまり、何らかの理由で組織が消滅してしまった場合、自分自身のアイデンティティに関して、致命的な崩壊の危機に陥ってしまうのである。