ドトールコーヒーの成功は、徳川家康の「願いが正ければ、時至れば必ず成就する」を如実に示している。
ドトールコーヒーの社歌に「川の流れの真ん中を行く」という文言がある。私は川の端で渦巻いている流れのような生き方だけはしたくない。川の真ん中をとうとうと流れつづけていこうと願っている(p49)。
ただし、商機というものは --- たとえどんなに自分が正しいと思っていることでも --- 「時」、すなわち時代の大きな流れ(時代的背景、社会の成熟度)と、「機」、すなわちそのことを起こそうとする機会が合致して初めて、味方になってくれるものだ。ドトールコーヒーショップの場合は、オイルショックによる可処分所得の低下という時代の流れ(時)と、原宿にコロラドを出したいというオーナーの意向(機)が合わさって、初めて商機となったのである。逆に言えば、商機の到来まで時間を待つということも大切なことだと思う(p93-94)。
だが、何か事を成し遂げたいと思うのであれば、忍耐はどうしても必要なものとなってくる。その際に大切なのは「時」を待つ姿勢だ。ただ単に待ち続けるという受け身の姿勢では商機を見逃すことになりかねない。かといって「時」をつくろうつくろうとすると焦りにつながる。要は、積極的につくり、待つという姿勢だと思う(p95)。