海外拠点トップの任用方法

グローバルにビジネスを展開していく企業にとって、海外拠点を指揮するトップには、本国の人材を派遣させるほうがよいのだろうか、それとも現地の人材を登用するのがよいのだろうか。もちろん、個別企業の事情によって答えは異なるはずだが、海外拠点トップの国籍については、一般的にはどのようなことがいえるのだろうか。何か法則性が見出せるのであろうか。


グローバル企業にとって、海外拠点のトップの役割は非常に重要である。経営戦略論における「上層部理論」によると、企業のトップマネジメントの特性は、企業業績に多大な影響を与える。同様の理屈が海外拠点子会社にもあてはまるだろう。つまり、海外拠点のトップの特性が、海外拠点子会社の業績や貢献に大きな影響を与えるだろう。


また、同じく経営戦略論における「知識ベースの企業論」によるならば、現地拠点のトップは、本国やその他の拠点と、知識や情報のやりとりを行う上で非常に重要な役割を担う。例えば、グローバル本社や企業全体として持っている技術やノウハウを海外拠点に移転するうえで重要な役割を担うであろう。あるいは、現地のマーケット情報を本国に伝えることにより、海外地域別の製品開発やマーケティングに関する指針づくりに貢献することも必要であろう。


そこでまず、「上層部理論」「知識ベースの企業論」の論理を用いて、海外拠点のトップに望ましい国籍(本国派遣人材か現地人材)についての仮説を導くことにする。