企業のグローバル化とコーポレート・ガバナンス

  • 多国籍企業の本社があるという理由だけで、そこの地域の制度や慣習のみに従って企業統治の仕組みでよいのか。もっといえば「日本型コーポレートガバナンス」という概念は、純粋にドメスティックな企業以外にとって意味のある概念なのだろうか。
  • その国や地域独特の企業統治を行なった場合に、その企業統治が海外展開やオペレーションにどういったかたちで影響を及ぼすのだろうか。
仮説
  • 企業のグローバル化が進めば、見かけ上の統治構造は、本社のある国の法や慣習の影響を受けてはいるが、実質的な統治構造は、より普遍的・ユニバーサルなものに近づいていくのではないだろうか。より普遍的とは、もっとも統治が効果的に行なわれる構造・プロセスである。
  • ただし、アメリカなどの一部の国のシステムが(それが最良かどうかは別として)浸透した結果として均質化されてくる可能性もあろう。

ガバナンス論に関して

米国の場合、トップダウンの経営が想定されているため、トップマネジメントの行動がガバナンス論ではとりわけ重要視される。それに対して、日本では、経営意思決定に近いものが、トップマネジメントではなく従業員によって行なわれる(ミドル層などへ権限委譲もしくはボトムアップ的な経営)ため、ガバナンス論で、トップマネジメントのみならず、従業員の行動にも焦点をあてる必要があるのかもしれない。