構造的慣性の理論

古典的な理論においては、組織は構造的慣性があるがゆえに、環境変化が起こった場合に、変革することはできず、環境と不適合を起こした組織は滅びていく。したがって、時間とともに組織の形態が変化するというのは、組織が環境に適合した結果なのではなく、環境に適合できない組織が滅びると同時に、新しく環境適合的な組織が生まれてきたために世代交代が起こった結果であると解釈する。


構造的慣性は、成功する組織には必然的なものである。なぜならば、顧客の信頼を勝ち取れる組織というのは、安定的に製品やサービスを提供できることであり、組織構造を安定化・高信頼化させることである。つまり、組織構造が安定している組織が生き残り、組織構造が安定しておらず、信頼性も低い組織は自然淘汰されて消えて言ってしまうのである。そうすると、成功して生き延びている組織は安定しすぎているがゆえに組織構造は変えにくくなる。さらに、構造的慣性は、組織年齢と組織規模が増えるとともに高まる。それが、環境変化が激しくなった場合に、組織変革への抵抗要因となるのである。