勝つための論文の書き方

鹿島茂 (2002)による優れた論文のエッセンスをまとめてみると以下のようになる。

勝つための論文の本質

それは「?」で始まり、「!」で終わる論文である。

問いの重要性とストーリー展開

論文は問いの立て方で良し悪しが決まってしまう。誰でもが感じているような、基本的で本質的なもの、それでいて誰も追求しなかったことについて、根源的な問いを立てる。そして仮説を構築し、検証していく。ただ、ストレートに予想どおりの答が出てしまうとつまらないので、仮説検証の過程で、仮説どおりになりかかったけれども、もういちど検討しなおしたら、仮説よりももっとすごい答がでてきた、という展開だと魅力的な論文になる。

序論の書き方

まず、読者をこの論文に呼び込む。そして、読者を驚かす。常識を覆すような質問、定説に反するような問題提議など、読者を不意打ちして関心を呼び起こす。そして、問いを正当化する。一見奇抜に見えるけれども、実は非常に本質的な問いを目指しているのだということを示す。そして、これからの論文の段取りと方法の説明をする。

本論の書き方

3章から5章くらいの構成にする。大クエスチョンを、小クエスチョンに分解して章立てする。各章には小クエスチョンに対する小アンサーがある。3章構成にする場合、連鎖式三章構成法(前章の小アンサーが、次章の小クエスチョンの前提となって展開し、最後に大アンサーとなる)、並列式三章構成法(それぞれの小で小アンサーを出し、最後にそれらをまとめて大アンサーとする)、弁証法的三章構成法(テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼと進む)がある。

結論の書き方

単純な問いに対し、単純な結論がよい。自分の仮説をも超えるすごい結論が出てくると魅力的。途中で複雑になる論文は、結論を単純なところに収斂させていく努力がいるが、無理に単純化するとつまらなくなってしまう可能性があるので注意。