論文には表現力が必要

レベルの高いジャーナルに掲載される論文をめざすには、文章力・表現力が必要不可欠だ。発見事実などの研究成果さえ優れていれば、あとは勝手に他の人々がそれを評価してくれるだろうというのはあまりにも無責任すぎる。いくら優れた研究成果でも、それを論文化したときに、文章力・表現力が不足していたがために、トップジャーナルに掲載されなかったならば、多くの研究者の目にふれ、研究成果をさらに活用される機会を損失させてしまうということで、研究者としての損失責任が大である。


文章力・表現力といっても、なにも文学的センスのある文章を書く必要があるといっているわけではない。論文の読者を呼び込み、はらはらさせ、驚かせ、緻密な議論を展開して感心させ、そして最後にドーンと凄い結論を出す。ある種の起承転結に似た、なんらかのストーリー展開で読者が感動させることが必要なのだ。だから、いかに研究成果がそれを目にしたひとに感動を与えるようにするかを演出するのが研究者の責任でもあるのだ。練りに練って何度も何度も、気の遠くなるような執筆作業を行うのは研究者の宿命であり、ねばりづよく、しつこく、最高の論文になるまで書き続けることが大切であろう。