気の流れを読みとり、自然と文化の調和をはかる
中国の地理観は、土地に備わっている気という生命エネルギーの流れによって自然を見、それがすんでいる人の人生に影響すると見るものです。気の流れは、岩塊1つ動いただけでも変わる、非常に動態的なものです。そのように自然を生き物として扱うから、人間が自然から同じような影響を得ようと思ったら、人間の側から絶えずそこに働きかけていかなければならない(渡邊 1995:16)。
気の流れを読み取って自然に人間から作用を加えることにおって、気の流れに乗ずるような生活空間を構築する。気の流れに乗ずるような空間を造ればよいが、それを無視することもできる。無視すれば、自然からのしっぺ返しがきますがね(渡邊 1995:17)。
風水はいわば自然の力を読む未来予知(学)ですから、自然条件はこうなんだと意図的・思想的に知ったうえで、自然の力を逆利用するような考え方です。といってそれは、あらかじめ与えられた環境への「適応」ではなくて、自然と人間の互いの働きかけによる、いわば「調和」です。・・・文化と自然を分かつことのできない思想で、・・・人間の精神と一体化するために造られている(渡邊 1995:18)。
中国の場合は、人間の思考は自然と一体にならなければならなかったから、思惟すること自体が「自然」だった(渡邊 1995:20)。