チクセントミハイのフロー理論

なぜ、「フロー」と名づけられたのか。チクセントミハイの著書(今村浩明訳「楽しむということ」)から見てみる。行為の最中には「自分が1つの流れであること」を認識すること、その行為の目的は「流れつづけるということ」にあること。ここからチクセントミハイは「流れ=フロー」というキータームを見出した。そして「フロー」は、被験者が自分の行動を記述するために繰り返し用いる語(原初的カテゴリー)であった(亀山 2003:58-59)。

  1. 直接の活動から自分を切り離して考えることはありません。・・・現在やっていることから離れたものとして自分を眺めることはありません(行為と意識の融合)。
  2. 意識の限定、過去と未来の放棄、純粋な熱中状態(限定領域への注意集中)
  3. 自己と環境、事故と他者を分節している境界が消失する(自我の喪失、世界との融合)
  4. 一方において環境と一体化しているとともに、他方において、環境を十分に支配・統御しているという感覚「環境を支配していながら、同時に環境に融合している感じ」、自由自在の境地(行為や環境の支配)
  5. 行為が自動的に制御され、滑らかに進行する「何かほかのものと一緒に動いている。良い気分になるのは1つはそのため」(フィードバック)
  6. 「自分が1つの流れであることの認識。フローの目的は流れつづけるということ・・・流れの状態を保ち続けるということです。登るということでなく、絶え間ない流れなのです。この流れを保つために登っているにしかすぎません」(自己目的的)
参考文献

亀山佳明(2003)「フロー経験と身心合一」今村・浅川編「フロー理論の展開」
フロー理論の展開
http://images-jp.amazon.com/images/P/4790710041.09._PE_SCMZZZZZZZ_.jpg