Week6補足

配置・移動

日本の典型的な大企業の人事異動については、テキストでは個人と仕事のマッチングの部分に多くが割かれていましたが、副次的な効果だといわれているコミュニケーションなどの効用は、実は、日本の大企業の経営にかなりの部分のインパクトを与えているように思います。


まだリサーチがあまり行なわれていないのでなんともいえませんが、例えば、定期的に社内で人事異動を行なうことによる「シャッフル効果」です。シャッフルすることによって、社内における人と人とのつながりが密になっていき、網の目のようなネットワークを形成していくことによって、それが企業競争力の源泉たりうるイノベーションなどの知識創造、事業機会の創出、円滑な合議的意思決定、人材の組織への定着や忠誠心の高まりなどの、日本企業の強みにつながる多くの貢献をしているように思います。会社内で仕事をしていくのに、誰が何を知っているかという"Know Who"、誰が本当に優れていて経営幹部として抜擢されるべきかなどについてのコンセンサスなども、人材が適度にシャッフルされることによって定まってきます。日本の伝統的な定期的人事異動の制度が、いわゆるアナログ的なナレッジ・マネジメントにつながっているという仮説です。