モデルの妥当性を判断する

数学の歴史的展開を分かりやすく解説する加藤(2007)によると、数学の場合、例えば無限概念が用いられるもののように、モデルが正しいか正しくないのかは、観察することによっては判定できない。


物理学や化学などの自然科学なら、自然現象を説明するために、まず仮説的な「モデル」を作り、そのモデルが「興味ある範囲の自然現象」を的確に記述することをもって理論の価値が測られ(妥当性)、これをもって正しさの基準となる。モデルはいったん自然現象から離れて抽象的に作られる。そしてそこから得られる仮説などを、ある範囲の自然現象と照らし合わせてみて、それが整合的かどうかで信憑性を測るのである。


ただし、「ある範囲の」自然現象に限っているので、どんなモデルも万能ではない。そのモデルが正確に現象を記述的ない境界が存在する。境界が広ければ汎用性が高いということになる。