雇用機会均等法

第7回「第3段階の男女雇用機会均等法」弁護士 丸尾拓養氏
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?i=20070205ja000ja

1986年の立法時の第1段階では、女性差別をなくすことに重点が置かれ、女性の優遇が認められていました。1999年の第2段階は、募集・採用等に関する努力義務が強行規定・禁止規定とされ、女性の優遇も原則として認められなくなりました。2007年の改正では、男女双方の性差別禁止となりました。


「間接差別」とは「直接差別」に対する言葉です。これまで男女雇用機会均等法が禁止していた差別的取り扱いは、「女性であることを理由として」の直接差別だけでした。2007年改正では「労働者の性別を理由として」とされて男女双方の差別禁止となりますが、直接差別を禁止する点では従来の延長線にあります。

 これに対し、2007年改正で新たに導入される間接差別は、「性別以外の事由を要件とする」差別です。つまり、女性であること、または男性であること以外を理由とする差別です。このような間接差別でも、「実質的に性別を理由とする差別となるおそれのある」措置を禁止します。


たとえば、募集・採用にあたって労働者の身長、体重、体力を要件とすると、要件の設定によっては男性または女性に有利となります。転勤経験があることを昇進の要件とすると、一般的には男性のみに有利となるでしょう。また、転居を伴う転勤に応じることを総合職の募集・採用にあたっての要件とすると、同じく男性のみに有利となるでしょう。


従来の直接差別禁止は、募集・採用、配置・昇進・教育訓練、一定の福利厚生、定年・退職・解雇の雇用ステージを対象としていました。改正により、降格、職種・雇用形態の変更、退職勧奨、契約社員の契約を更新しない雇い止めについても、性差を理由とする差別的取り扱いが禁止されます。また、「配置」には、同じ役職や部門への配置であっても、権限や業務配分に差がある場合には該当することが明記されました。