半導体業界


日本企業復活への道〜米アナリストの見方:その1
http://www.ednjapan.com/content/l_news/2006/08/l_news060816_0101.html

1980年代後半から1990年代初頭にかけ、セットから部品まで多角的にカバーする垂直統合型のビジネスモデルに基づいた日本のメーカーは、エレクトロニクス業界を席巻する勢いを見せていた。半導体製品がもたらす巨額の利益を基に、製品ラインをさらに拡充し、拠点数をどんどん増やしていった。

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かつて企業戦略の要を担っていた半導体事業には、規模縮小、スピンオフ、再編の波が押し寄せている。それでも日本企業の低迷はとどまるところを知らず、米IC Insights社によれば、世界の半導体市場シェアではピーク時だった1988年の51%から2005年には19%と、約20年間で大幅に落ち込んでいる。

「日本企業の垂直統合型ビジネスモデルは、もはや競争力のあるものだとはいえない。幅広さよりも専門性が要求される時代なのだ」と、市場調査会社である米iSuppli社のDerek Lidow社長兼CEOは指摘する。

現在、日本のエレクトロニクス企業は、多かれ少なかれ、半導体事業を独立させる方向で動き出している。2003年4月に日立製作所三菱電機の非メモリー半導体事業部を合併して誕生したルネサス テクノロジは、その一例である。ルネサステクノロジの伊藤達会長兼CEOは、われわれとのインタビューで「競争力の高い分野に集中する必要があると認識している」と述べている。しかし、急成長を遂げている半導体企業と比べれば、同社の製品ラインはまだまだ幅が広すぎるといえる。(続く)
(Electronic Business)

http://www.ednjapan.com/content/l_news/2006/08/l_news060817_0201.html

1999年12月、日立とNECは両社のDRAM事業部を合併してエルピーダメモリーを設立した。NECは残った半導体事業をスピンオフし、2002年に NECエレクトロニクスという新会社を設立した。そして2003年4月、日立と三菱電機が両社に残っていたチップ事業を統合してルネサステクノロジを設立した。東芝富士通DRAM事業から撤退し、半導体事業部門を子会社化した。どの企業も今は非DRAM部門、とりわけSoC (system on chip)事業に力を入れている。


http://www.ednjapan.com/content/l_news/2006/08/l_news060818_0201.html

 「日本企業のその後の成り行き」の例は、東芝に見ることができる。東芝フラッシュメモリー市場のパイオニアだった。DRAM事業から撤退するときに、同社はいくつかの古い工場をフラッシュメモリー生産用に転換した。しかし、韓国Samsung社は東芝をはるかに上回る投資を行った。東芝の斉藤昇三執行役常務によれば、Samsung社は10年間で10のフラッシュメモリー工場を建設し、東芝を追い抜いたという。Samsung社は東芝からフラッシュ技術のライセンス供与を受けていたが、今では市場シェアのトップだ。iSuppli社の報告によると、2006年度第1四半期のシェアは、東芝が24.6%であったのに対し、Samsung社は48.7%だった。東芝は今年中にフラッシュメモリーの増産体制を整えるが、「Samsung社に追いつくのは簡単ではない」と斉藤氏は語る。

http://www.ednjapan.com/content/l_news/2006/08/l_news060823_0101.html

当然のことながら、東芝富士通は今もなお垂直統合モデルに利点があると考えており、それを業績で証明している。「日本で昨年、半導体事業で利益を上げたのは東芝富士通だけだった」と、東芝の斉藤氏はいう。東芝の電子デバイス部門は1233億円の営業利益を計上した。富士通は333億円だった。しかし近年スピンオフした半導体企業はすべて赤字だ。


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しかし、同じ垂直統合型のビジネスモデルである韓国Samsung社の場合は例外だ。同社は2002年に世界第2位のチップメーカーとなり、その多様なエレクトロニクス事業のほぼすべてで成長を遂げた。「Samsung社の半導体子会社は、やらなくてはならないことだけを任されている。アグレッシブな独立企業により近い」と、Lidow氏はいう。

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ソニーはICの販売先を系列企業に向けつつあり、外部への販売はそれほど重視しなくなっている」とMcClean氏はいう。世界半導体売上ランキングで、ソニーはゆっくりではあるが着実に順位を上げてきている。1994年は19位だったが、2005年には13位に上昇した。プレイステーション以外のヒット商品がないにもかかわらず、5年間の平均収益成長率はどの大手日本企業よりも高い。