無為の力

「何もしない」というのは、一見非生産的に見えますけれども、実は新しいものを創造する前の大切な過程なんですね。何もしない状態の中からこぞ、普通の状態では容易に動かないものが動く可能性が出てくるわけですよ。・・・「何も方向性がない」「何も目標がない」という状態からは、普段では考えつかない途方もないことが出てくる可能性があるわけですよ。その途方もないことが起きるのが面白いわけです。
(河合・谷川 2004:146)

「人間は人間として生まれてきたことだけで尊いのであって、勉強ができるとか、人より能力があるなんていうのは二の次でいい。だから、自分の好きなことをやりなさい」
・・・ネズミとかゲジゲジに生まれてきてもよかったのに、よりによってなんで人間に生まれてきたのか(笑)。これはすごいことですよ。だから「ヒューマン・ビーイング」で十分なのに、人間で「ある」だけですごいことなのに、「何かしなくては」「よい人にならなくては」と焦ってしまう。それはみんな間違えているんですよ。人間であるということがどんなに素晴らしいことか、それを忘れてしまっているんですね。
(河合・谷川 2004:148)

新幹線の切符を買おうとしたら「『のぞみ』はありませんが『ひかり』ならあります」なんて言われることあるでしょ。僕は窓口でそれ言われて感激してね。思わず「望みはないけど、光がある!」と大声で繰り返してしまったんですよ。そうしたら駅員さんが「あっ、『こだま』が帰ってきた」(笑)。
河合・谷川(2004:152)