ザインエレクトロニクス記事

立ち上がれ!!ニッポンの半導体ベンチャー

http://www.semicon-news.co.jp/news/htm/sn1298t-j.htm

同社は1991年5月に資本金3200万円で設立され、その後サムスン電子との合弁会社を設立する一方、台湾にも現地法人を設立、98年5月には2億 3000万円に増資した。売り上げはグループ全体を含めて100億円近くまで来ており、今後も急上昇が見込まれている。システムLSIを効率的に設計する独自のノウハウを確立しており、いわゆるファブレスメーカーとして、そのブランドを定着させていく考えだ。

それは何といっても「日本人技術者の開放」ということにつきる。・・・日本の技術者は大企業の中で安定することはできても、巨大な富、名のある成功、世界に広がるビッグプロジェクトとは無縁と思えてならない。私は、東芝において花形ポストといわれる半導体技術研究所の開発部長の任にあったが、こうした鬱屈感が独立を呼び込んだといえよう。


ザインという社名はどこからつけたのですか。・・・出資してくれた人の頭文字をうまく並べ合わせたところ「ザイン」(THINE)となったが、これはシェイクスピア劇に出てくる古い英語で、「あなたのもの」という意味になる。あなたのものはみんなのもの、ということで、go public(上場する)というイメージを持ち、この会社の哲学にふさわしい名前だ。


ザインが手掛けた初めての仕事は。・・・米国ヒューレット・パッカード、韓国サムスン電子OEMによる半導体設計だ。ここで地歩を築き、その後、松下、NECソニー、日立、三洋など、日本を代表する大手メーカーや韓国の三大メーカーなどから仕事を頂き、軌道に乗った。


受託開発からスタートしたが、その後台湾のファンドリーを活用して、“自社ブランド”のシステムLSIを提供するファブレスメーカーに事業拡大していった。特に93年当時は、台湾のTSMCが頭角を現わしてきた時期で、私はその時点で日本にもファブレスの時代がくると予感していた。また一方で、シリコンファンドリーが全盛となることも予想していた。半導体はいまや国際分業の時代であり、製品企画、設計、前工程、後工程、テスト出荷などがすべて異なる国、異なる企業が手掛ける、という時代に突入している。これは、スピードとコストの問題であり、その意味では、いわゆる巨艦型の日本のシステムは時代に合わない。


危機的状況ではあるが、日本人の持つ潜在能力はまだまだ大きい。教育程度も高く、スピリッツもある。ないのはやはり「夢とロマン」だ。自由な環境で設計し、製品企画を立て、工場管理、販売などを自ら立ち上げていく喜びを知るべきだ。ザインには、大手メーカーには見られない「夢とロマン」がある。若い人達の中にも、かつての私のように鬱屈した思いの人がいるはずだ。そうした人はぜひザインの門を叩いてもらいたい。