講義の取り組み方と学習成果

本科目では、講義への取り組み姿勢によって、学習効果が異なってきます。最終目的を、本科目の単位を取ることないしは良い成績を取ることにおかず、長期的な自分のキャリアにとってプラスとなるかどうかにおいて取り組むべきだと考えます。その理由は以下の通り。

  • 成績については、いくら厳密につけても運・不運や採点者の主観性を完璧に排除することは不可能である。だから、1つの科目の成績に一喜一憂することはナンセンスであり、学習成果というのは、長期的にみてこそはじめて信頼性の高いかたちで確認できる。つまり、短期的には成果の測定誤差が含まれていても、長期的にはそういった誤差は丸められ、真の学習効果が分かるというわけである。さらに、高いお金を出して教科書を買ったりすると、もったいないのでその元を取ろうとするから、長期的な投資収益率はプラスになって、逆に教科書を買わない場合よりも得をする(そもそも人間は痛い思いをしたときに一番よく学習する)。


本題に戻して、もっとも学習成果の高い順番から、取り組み姿勢の例を挙げる。


1.(担当じゃなくても)事前に該当する教科書の章を最初から最後まで読み、可能であればホームワークも事前にやってしまう。そのうえで、読んでいて分からないところや疑問に思うところをメモしておき、授業当日のQ&Aとのときに質問する。

  • これはもっとも学習効果が高い。まずもって、授業当日に、わからないところを徹底的に聞けるので、家庭教師に教わっているのと同様の効果が得られる。同時に、Q&Aの内容は他の受講生の勉強にもなる。ただし、Q&Aを聞いているだけの受講生は、問いを発している受講生よりも学習効果は劣る。自発的に考えたうえで問いを発し、対話をし、納得して得た知恵こそが後になって役に立つのである。


2.自分の担当する章をきちんと準備するのは当然のことだが、そうでない週は、事前に教科書を斜め読みしたうえで、当日の発表グループのプレゼンテーションをしっかりと聞く。

  • これは、自分の担当した章以外の部分については学習効果はあまり高くない。自分の担当する週以外の授業のときはどうしても受け身になってしまうし、講義内容に関する質問や疑問もすぐには浮かんでこないので、せっかくの学びのチャンスを逸してしまう。


3.自分の担当する章以外は、予習をせず、当日の授業のみに頼る。なおかつ、たまに授業を休む。

  • これはさらに学習効果が低い。授業当日にはじめて内容を聞き、十分理解して実践に応用できるかというとかなり疑問である。


4.授業をよく休み、なんとか独学で教科書を読んでマスターしようとする。

  • これはたぶん、挫折するだろう。


理想を言えば、講義において教科書の内容のプレゼンは一切省き、全員が教科書を読んできてわからない点やディスカッションしたい点をメモしてきたうえで、いきなりQ&Aからスタートし、その後ディスカッションに入るのがのがよいのですが、さすがに全員が1のレベルの取り組み方をするとは限らないので、現在のような講義の構成になっているという次第です。ちなみにアメリカでは全員が教科書を事前に読んでから来るので、講義で教科書の内容を説明すると「時間の無駄」だと学生からお叱りを受けます。