不利の勢い

形勢が悪くなったときに最もまずいのは、うろたえて不用意な動きをすることである。不利なときというのは、相手が刀を振り回しているのを必死にかいくぐっているようなもの。ムキになって反撃したり、怖じ気づいて背中を見せたりすれば、そこでバッサリ斬られてします。・・・こういう時は、しばらくじっと耐えているに限る・・・。
次にまずいのは、ただじっとうなだれていることである。・・・やはりいちばんいいのは、じっとしていても、その姿勢が反撃のためのエネルギーを貯えている形である。それが「不利の勢い」につながっていくのである。
・・・人生で最も大切なのことは、じっと耐えるか、それとも反論したり動き回ったりしたほうが良いかを的確に判断できるかどうかにある。その判断に基づいて実行できるかどうかが次に大切である。動いたほうが勝ちなら動く。静のほうが後になって勝てるのなら動かない。動か静か。この見極めこそが人生の岐れ目になる(米長 2006:88-89)。

好調で精神的に落ち着いて余裕のある時には、欠点を直す。・・・一方、スランプに陥って悩んでいるような時には、長所を伸ばすことである。というより、自分の欠点を見ない、というほうが正確だろうか。・・・さらに、前述したように「しめた」と思うような得意の形になった時こそ注意すべきこと、勝っている時こそスランプの始まりだと心すること、の二つを付け加えておきたい。

参考文献

不運のすすめ