ストックオプションの経済学
経済学的に見たストックオプションの適切な設計はどのようなものか。
- オプションの単位
- 行使価格・期間
- 報酬にしめる割合
特定の価値を持つストックオプションを与えるとする。行使価格とストップオプション枚数の組み合わせはさまざま考えられるが、組み合わせによって、社員のインセンティブ効果が異なる。
ストックオプションの行使価格を低めに設定すれば、オプション1枚あたりの価値(期待価値)が高まる。よって、総価値を一定とすれば、行使価格が高ければオプション枚数は少なくなる。一方、行使価格を高めに設定すれば、オプション一枚あたりの価値が低まる。よって、行使価格が低ければオプション枚数が多くなる。
ストックオプションの総価値を一定としてインセンティブ効果を高めるには、行使価格を高めに設定することによってオプション枚数を多くすればよい。
極端な例として、現株価が1000円として、行使価格800円のオプション1枚与えるケース(ケースA)と、行使価格999円のオプション200枚与えるケース(ケースB)を考えよう。期待価値は、1枚あたりケースAで200円、ケースBで1円とすると、期待価値の総額は両方とも同じ(=200円)である。
社員の努力により、株価が10%上昇するとする。その社員はどれくら儲かるだろうか。ケースAの場合、単純に1100の株を800円で買えることが期待値とすれば300円と資産が1.5倍になる。一方、ケースBの場合は、1100円の株を999円で買えることが期待値とすれば、それが200枚あるので、101×200=20200円となる。資産が101倍に膨れ上がることになる。明らかにケースBのほうが、企業業績を改善して株価を高めようとするインセンティブが強まる。