「私の履歴書」と計画された偶発性(パプンスタンス)

日本経済新聞に掲載されている「私の履歴書」は功成りを遂げた人々の自伝エッセイだが、ここで最も多く登場する言葉は何かを調べた人がいる。その結果は「たまたま」、「偶然」という言葉だそうだ。たまたまみかけたニュースに、旧知の人との偶然の再会に、そこに何かを生み出すヒントがあったというのだが、たまたまでも、偶然でも、まして運がいいのでもなく、つねに問題意識をもっていたり、解決したい課題を持っていたりと、意識の中に情報を能動的にキャッチしようとする回路があるからこそ、そのアンテナに情報がひっかかってくるのである(藤沢2008:101-102)。

藤沢久美 2008 投資信託主義――時間と資産の正しい法則 (角川oneテーマ21 C 146)