プロフェッショナルの流儀

高田(2007)の後書きにおいて荒井氏が評しているような「プロフェッショナルの流儀」は、実践の世界でも研究の世界でも当てはまると思う。

しかし、1つだけ確かなことは、相場師である氏の思考様式が、おそらく大方の人々の想像以上にプロフェッショナル即ち志の高い職人の思考様式と共通点が多いということである。

たとえば、・・・経験や知識の集積から一定の仮説(アイディア)を考案し、そのアイデアを客観的事実(相場データ)に照らして検証するという試行錯誤を何度も繰り返し、統計的優位性の認められる一定のルール(システム)を発見し、当該システムを忠実に履行していくことを実践している。そして、当該システムを一定期間忠実に履行した結果としての投資損益や相場に参加したことによって得た経験や知識から、新たによりよい仮説(アイディア)を考案し・・・といったようなフィードバック回路を辿る(p185)。

高田氏本人のプロフェッショナル意識が垣間見える記述には以下のようなものがある。

強い相場師は、必ず自分のモノを持っています。それは、その人のためのものであって、誰かがマネしようとしてもうまくいかないのです。私自身、彼らから何かを聞こうと思わないし、それを利用しようなどとは、まったく思いません(p157)。

自分が認めた人に評価されるのであれば、他の人からどのように言われようがかまいません(p151)。

「信じる力」は必要です。・・・「疑う力」も必要です。・・・これとは別に相場をやるにあたって必要な力とは何でしょう。それは、「斜めに見る力」です。これに大局観と、いろいろな角度から見る力を持っていれば、相場を学習するのにものすごく有利になります。「斜めに見る力」というのは、いわゆる「皮肉な見方」です。まったくの第三者の目で見る力といえるかもしれません。正面から見るでもなく、後ろから見るでもなく、冷静に見ることともいえます(p118-119)。

「相場に強い人間ほど、必要とする情報は少なくなる」ということだけを心に留めておくようにしてください(p93)。