流れ

たとえば、川があって、丸太が二本流れているところを想像していただきたい。
後から流れている丸太は、前を流れている丸太を絶対に抜くことはできない。僕はそのまま流されていたら、先輩に追いつくことも、追い抜くこともできないのである。・・・前を流れる丸太が岩に引っかかったりしない限り、・・・後から入社した人は先に入社した人を抜いて昇進していく可能性は考えにくい。


・・・それでは、先に流れている丸太を抜くにはどうすればいいか。このまま同じように川を流れていても、永遠に抜くことはできないのである。ならば、自分の丸太をいったん川から出せばいい。川から出して、川の流れよりも速く運ぶということをすればいい(秋元 2003:17)

バイオリズムというのは、麻雀が好きな人ならわかるだろう。たとえば、麻雀を打っていて、その日はかなり調子がいいとする。ところが、突然、誰かがビールをこぼした瞬間に流れが変わる。それまで調子がよかったのに、ビール瓶を倒したがゆえに、バイオリズムが悪くなってしまうのである。
真のギャンブラーは、そこで流れが悪くなったことを瞬時に気づく。本気でギャンブルをやっている人は、バイオリズムの変化を察知することができるのだ。
いや、普通の人でも、流れが悪くなったなというのはわかるだろう。しかし、人間は感情や欲望があるから、流れが悪くなったとわかっても、さっきまで勝てていたのにと焦って、さらに攻めに出てしまう。普通の人は、そうやった感情や欲望に押されて、負けていくのである。
そこで攻めずに引くことができるのが、真のギャンブラーの真骨頂ではないだろうか(秋元 2003:108)。