高価格とサービス品質

飛行機のファーストクラスのように、いたれりつくせりのサービスであるにせよ、エコノミーの10倍を超える場合もある値段など、一般人にはとうてい手がでないクラスの商品が存在する。


しかし、価格とサービス品質の関係を考えるならば、それでもつりあわない高価格であると思われるかもしれない。エコノミーやビジネスクラスよりもサービスが良いことは納得できるが、いくらなんでも、10倍以上は高すぎるのではないか、という疑問である。


この疑問は、需要と供給の関係をアタマに描くと、別のサービス品質との絡みがでてくる。それは、欲しいときに手にはいるという意味での品質である。もしも、ファーストクラスの値段が、機内のサービスに相応の値段に落ち着いたとするならば、つまり、現行の値段よりも値下がりしたならば、利用したいという人は増えるはずである。しかし、利用者が増えてしまえば、とうぜん混んでくるわけで、真に必要は人が予約したいときに一杯で取れないということになってしまう。


つまり、手に届かない人が多いからこそ、ファーストクラスの空きに余裕があり、ほんとうにそれだけの値段を払っても利用しなければならない人が簡単に予約できるのである。すぐに予約できるということは、そうでない場合よりも、顧客満足を高めるので、品質がいいといえるだろう。


タクシーの例も同じである。高いなと思うタクシーの値段であれば、ちょっと我慢して歩こうか、あるは電車にしようかという人が増える。そうすると、空車が増えて街中で簡単にタクシーを拾えるようになる。一方、多くの人が気軽に利用できるくらいに値下がりすると、こんどは空車が減り、街中で簡単にタクシーが拾えなくなり、顧客満足を阻害するのである。