一陰一陽之を道と謂う


「陰陽は対立しあい、変化して万象は止むことなく循環する。これを道という」


無為無心の自然のはたらきは、陰陽が無窮の変化を繰り返すことで成り立つ。陰陽は対立しあいながらも、かわるがわる自在に転化する。つまり、陰陽はたがいに反発しあいながらも交じり合おうとする。この働きが膨大なエネルギーを発し、万象を生み出す。

冬が極まれば春、夏へと向かい、夏が極まれば秋、冬と向かう。春夏秋冬が循環することでさまざまなものが生み出される。正を突き詰めれば邪にも転換し、邪を突き詰めていくと、正にも転換する。絶対的な答えは出ない。

何が善で何が悪かなどという議論や観念にとらわれるよりも、まず誰よりも先駆けて、混沌と変化する「時」に身を投じ、そのリズムを身をもって知るべきなのです。その上ではじめて兆しを察し、陰陽を用いるということが可能になるのではないかと思います(竹村 2005:201)。