AMJ論文に学ぶトップジャーナル掲載のための研究方法と論文執筆スキル(演習1)

本シリーズでは、前回までの14回をかけてAMJ論文Leslie et al. (2023)を教材として、経営学のトップジャーナルに掲載できるような研究とはどのような研究であり、その研究をどのように論文化していくとトップジャーナルに実際に掲載可能な論文になるのかについて解説した。通常、予備校では演習問題を解くことで学習内容を定着させることをするから、それに倣って今回は、14回で学んだことの演習として、別のAMJ論文を使ってこれまで学んだ内容を復習するための演習問題を提示するのでぜひ取り組んでいただきたい。後日それぞれの問題について解説する。

 

次の論文(以下、Hu et al., 2024)を読み、以下の問いに答えなさい。

Hu, X., Parke, M. R., Peterson, R. S., & Simon, G. M. (2024). Faking it with the boss’s jokes? Leader humor quantity, follower surface acting, and power distance. Academy of Management Journal, https://doi.org/10.5465/amj.2022.0195

論文入手のヒント

オープンアクセスではない論文は通常、大学の図書館が契約していたり個人で会費を払う学会員になっていないとダウンロードできないケースが多いが、世の中のオープン化の方針に則り、出版社版でないアクセプトされた原稿を著者が自分のホームページや機関レポジトリに登録して閲覧可能にしている場合がある。原稿を無料で閲覧できるようにしても良いかどうか、その場合の条件などは、各ジャーナルのホームページで確認するか、以下のサイトでジャーナルを検索して確認することができる。まずは、google scholarで本論文を検索してみると良い。

Welcome to Sherpa Romeo - Sherpa Services

設問

1)Hu et al. (2024)の論文を読む前と論文を読んだ後で、リーダーのユーモアに関する見方、考え方が変わるか。変わるとすればどう変わるか

2)Hu et al. (2024)は、リーダーのユーモアに関する先行研究をどのように批判しているか

3)Hu et al. (2024)の研究の核心となる問いは何か

4)Hu et al. (2024)はどのような広範な理論を用いて、文脈特殊的な理論と仮説を構築したか

5)Hu et al. (2024)の研究が提示する理論と仮説のどこが新しいか

6)Hu et al. (2024)が行った実証調査の強み、工夫はどこにあるか

7)Hu et al. (2024)が行った研究の結果、新たな発見はどのように実践に役立つか、実践的示唆は何か

補足質問

1)Hu et al. (2024)のタイトル・abstractに工夫はあるか

2)Hu et al. (2024)の序論の構造はどうなっているか

3)Hu et al. (2024)の実証調査におけるデータの開示状況はどうなっているか

4)Hu et al. (2024)の論文では、どのように図表を配置しているか

5)Hu et al. (2024)の考察部分の構造はどうなっているか