実践は論理を超える

明日への話題(野中郁次郎氏)07/06/15 日経新聞夕刊より

人生で一度しか起こらない決定的瞬間の意思決定では、客観的で普遍的な命題があるわけではない。「やりたいことは何か」という内発的な主観的目的が重要である。・・・現実は、論理的真偽を問うよりは個別具体の文脈での行動と結果が問われる。すなわち、実践的推論では、1.やりたい目的がある、2.これが実現する手段がある、3.だからこの行為を行うべきであるという流れになる。つまり結論は行為であり、もし間違った場合は、仮説・修正を反復し、真実に迫る。このような実践的推論の妥当性を伝えることは非常に難しい。大前提の「何をやりたいか」は論理的分析からは導かれない。なぜなら、それは本人の「生き方」に関わるからである。・・・