生きていくことの意味

すべての出来事はつながっている

この人生で起きるすべての出来事はつながっていて、そのつながりには、単なる偶然ではない意味がある。別の角度から言えば、この人生で起きるすべての出来事は、私たちに対する「呼びかけの声」である(諸富2000:20-21)。

個を超えたつながり

現代人が抱える心の傷、魂の渇き、空虚感などは、「つながり」を見失い、個人が「バラバラ」になってしまったことに起因する(諸富2000:22-23)。

自分を超えた大きないのちの流れに生かされている

自分が生きている、のではない。何か大きな大河の流れのような、あるいは、この大自然、大宇宙そのものであるような、「いのちの働き」。それそのものが生きているのであって、「私」はその「大きな大きないのちの働き」に生かされているにすぎない。その「大きな大きないのちの働き」がとった、ほんのちっぽけな1つの形にしかすぎない(諸富2000:39)。

宇宙の自己進化の流れの中にある人間

宇宙それ自体にある一定の方向に向う「力」が働いている。宇宙それ自体に、絶えず複雑化し、新たな何かを創出していく「自己進化の力」が働いていて、その途上で物質を「含んで超える」かたちで生命が生み出され、生命を「含んで超える」かたちで心が生み出され、心を「含んで超える」かたちで魂と精神までもが生み出された。そしてこれは単なる偶然の産物ではない。宇宙がそれ自体、目的と秩序を持ち、ある一定の方向にむかって進化(自己進化)しつづけている(諸富2000:57)。


人間は、宇宙の歴史のなかではじめて「自己意識」を持つに至った存在である。人間は宇宙の一部だから、宇宙の一部がみずからを振り返る眼を持ったことになる。したがって人間の生死の意味は、みずからが宇宙の自己進化の一部をなしていることを「自覚」し、宇宙の自己進化の中でみずからが果たすべき役割=「天命」を知り追求していくことにある。そして、みずから積極的に宇宙の自己進化のプロセスにかかわりながら生きていくべきだ(諸富2000:62)。


自己意識を持ち、知性をじゅうぶんに発達させ、さらには魂や精神まで持つに至った人間は、宇宙の自己進化の最先端に位置する存在である。人間はその位置、みずからの使命と役割をじゅうぶんに自覚して、可能な限りの自己成長に励むべきだ。魂と精神性の修練に努めるべきだ(諸富2000:64)。