経営戦略論とは

経営戦略論とは、特定の企業が、別の企業よりも中・長期的に超過利益をあげることにつながる要因を追求する学問である。


他の企業よりも中・長期的に超過利益があげられるということは、他の企業よりも競争力のある企業が存在するということであり、その要因をつきとめることは、企業経営を行なう者にとっても有益なはずである。


経営戦略論の勃興期の特徴としては、マイケル・ポーターのように、経済学における産業組織論の考え方を援用し、企業業績にばらつきがある原因を、その企業がどの産業で事業を行なっているか、さらにその産業内でどのようなポジション(もしくは企業グループ)に属しているかによって決まってくるとする考え方である。このような考え方に基づくならば、企業が中・長期的に繁栄するためには、適切な業界を事業活動として選別すること。構造的に利益があがる構造と利益があがらない構造をもつ業界が存在するからである。さらに、業界内で、利益があがるようなポジションを確立することである。他社と差別化された製品を提供する、他社よりも低コストで商品を生産できるようにする、より狭いセグメントに資源を集中させる、などの考え方がある。


企業の競争優位の源泉を、業界構造での位置づけ(位置取り)に求める経営戦略論のアンチテーゼ的であり、かつ近年で主流となってきている考え方は、企業の競争優位の源泉を、企業が内部に保持する特殊な資産に求める考え方である。つまり、利益を上げられるような価値のある資産であり、かつ、他社が真似ることのできない、他と取り替えることのできない、そして希少な資産を持っている企業が、持続的に競争優位性を獲得できるという考え方である。なぜならば、利益をあげるのはその資源なのであり、その資源はその保有企業に特定のものであって、他社がそれを獲得することはできないからである。よって、超過利益を持続的に獲得することができるというわけである。