真実のつかみ方

さとりとは、ものごと全体の根本をなしているものを心理的に掴むことで、これを体験した人が救われた人ということです。西洋では、救いを求めるにあたって、あまりにも科学的研究一点ばりの方向に走っている。東洋には、人間の矛盾を解決する方法として、無意識を意識するやり方があります。意識の波を完全に静めて心を鏡のような状態にもってゆくと、知性を通じては掴めないものを感知することができるようになります。雑念が払いのけられ、精神が深い静けさを経験したとき、はじめてほんとうの現実を見きわめることができるようになるのです。−−鈴木大拙 (松原 2000)