この演習シリーズでは、本シリーズ(質的研究偏)の演習問題として前回までで、Pletneva (2024)を教材として用いた演習問題の解説が終わった。今回からは、演習問題の第2弾として、以下の論文を教材として演習問題の解説を行っていく。
次の論文(以下、Koo & Kim, 2024)を読み、以下の問いに答えなさい。
Koo, E., & Kim, A. (2024). Linguistic Inclusiveness in Organizations: A Russophone Bank in Post-Soviet Kazakhstan. Academy of Management Journal, 67(6), 1577-1611.
論文入手のヒント
いつも説明しているとおり、google scholarで論文を検索してみると、研究成果のオープン化の一環として、AMJにアクセプトされたバージョンが無料で閲覧できる状態になっていることが多いので、正式なジャーナルへのアクセス権を有していない場合には試してみるとよい。もし見つからない場合には、図書館などで探してみるしかないが、AMJのようなトップジャーナルは研究大学であればほぼどこにもある。
設問
1)Koo & Kim (2024)を読む前と論文を読んだあとで、研究対象となっているテーマについての考え方がどう変わるか
2)Koo & Kim (2024)では、研究テーマに関する先行研究をどのように批判しているか
3)Koo & Kim (2024)の研究の核心となる問いは何か
4)Koo & Kim (2024)が研究上の問いと調査方法はフィットしているか
5)Koo & Kim (2024)が質的調査を通して得た発見や構築した理論のどこが新しいか
6)Koo & Kim (2024)は、どのような形で新規性の高い発見や理論を導いたのか
7)Koo & Kim (2024)は質的調査から導いた発見や理論と先行研究とをどのように接続しているか
8)Koo & Kim (2024)による発見や新たに導いた理論はどのような形で実践に役立つか
補足質問
1)Koo & Kim (2024)のタイトル・abstractに工夫はあるか
2)Koo & Kim (2024)の論文の前半の構造はどうなっているか
3)Koo & Kim (2024)の実証調査におけるデータの開示状況はどうなっているか
4)Koo & Kim (2024)での調査結果および分析はどこまで詳細に記載されているか
5)Koo & Kim (2024)では、どのように図表を配置しているか
6)Koo & Kim (2024)の考察部分はどうなっているか
7)Koo & Kim (2024)の全体を通して、論文の表現方法に質的研究論文の柔軟性を活かした工夫があるか